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企業の中での情報共有は難しい?---その2

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企業の中での情報共有は難しい?---その1(2006/8/26)

なぜ、中~大企業では情報共有を推進するのは難しいのか。

情報共有を促進するための2つの大前提、「社内のすべての情報は、すべての社員が見ても良い」と「ほとんどの社員が積極的に情報を発信する社員である」について。

1つ目の「社内のすべての情報は、すべての社員が見ても良い」という条件ですが、セキュリティにうるさくなった昨今、複数の顧客を抱える企業では、建前上A社のプロジェクトの人間がB社のプロジェクトの内容を知ることができなくなっているため、今の風土のまま実現するのはまず無理でしょう。

また、会社自体の情報についてもお金にからむところは、必要以上に情報を隠蔽したがるというふしも見られます。正社員以外の社員が多く存在する場合も、企業経営者としては、なるべく情報は見えなくするようにしたいのが本音のはずです。

では、それら隠されている情報から必要な部分だけをマスキングして社内に公開すれば良いのですが、この作業は実に面倒です。面倒な割に、そうやって公開された情報に対するフィードバック(「有益でした!」「ありがとう!」等プラスの意見)が得られることは少なく、公開する人間のモチベーションにも大きく関わってきます。

そしてこのことが「ほとんどの社員が積極的に情報を発信する社員である」ことを実現することを阻害する要因に関わってきます。

インターネット上でブログなどを利用し情報を発信している人のほとんどが、訪問者の数やコメント、或いはアフィリエイト収入などのフィードバックによって支えられています。

つまり、「記事を書く」→「訪問者がフィードバックを残す」→「モチベーションが上がる」→「記事を書く」というプラスのサイクルが回り出します。ただし、これほどうまくフィードバックを得られるブログは、全体のブログ数に比べるとかなり少ないように思われます。「ブログを始めたけど、書き込みとかなかったから止めちゃった」という話はそこかしこで聞く話です。

インターネットのように、利用者が何千万人もいる環境でも、なかなかフィードバックを得るのは難しいわけです。それを社員数が少ない社内で展開しても、うまくいくはずがありません。

むしろ、書いている人の顔が分かるだけ、書く人は「変なことは書きたくない」「文章が下手だから笑われるかも」と思いやすいものです。会社が大きくなればなるほど、「リスクがあることに手を出して失敗したくない」という事なかれ主義になりやすいので、うまくいくはずがないのです。

Googleの社内ではほとんどがブログで情報が発信されていると「ウェブ進化論」で書かれていました。

なぜGoogleではうまくいっているのか。理由は色々あるでしょうが、やはり「少人数のときからそういう仕組みだった」というのが大きいと思います。

社員数がある程度の企業で「今日からブログで情報を発信するように」と言っても、言われた方は『何』を『どこまで』書いて良いか分からず、結局『当たり障りのないことだけ書く』という選択肢か、『書かない』という選択肢を選ぶはずです。

情報共有が難しいのは、社内のシステム的な問題もありますが、それ以前にそのシステムに乗せる社員から提供されるべき「コンテンツ」が集まらない仕組みになっているからです。

「社内の環境だからお前ら気にせず好きなことを好きなだけ書け。責任は俺が持つ」なんて豪気な社長がいれば、話は違うのでしょうが、昨今のセキュリティ問題にびくびくしている会社ではまず無理でしょう。